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第二部 バイク屋開店 1986春〜6月
7.さぁ、開店だ!

 店舗兼喫茶室6坪、工場10坪のお店が出来あがった。

店舗写真
十日市交差点向きで撮影。少しだけ歩道も借りて商売。
店舗写真
開店したのは、通称「人絹道路」沿い。反対側の歩道より、店 を臨む。どう見たってオートバイ屋だと自信を持っていたんだけど・・・
  床を丹念にワックス掛けし、ガラスはキュッ・キュッ・と音がするまで磨いた。カウンター正面の壁にかけた巨大ジグソーパズルの中ではフレディスペンサーが音を立ててヒザ擦っている。これは、金甲山仲間のナガタニさんから頂いたお祝いのひとつ。 ホント、思い切って、目つむってリースした約100万円相当の新品大道具(今も残っているのはコンプレッサーだけになってしまったが)の搬入も終わった。我がコーバの真中にあぐらをかいて坐る。

「やった!オレの店じゃ。これでドゥカティに乗れるか」

と、後は釣銭だけしか残っていないことをスッカリ忘れて夢見る目出度い青年?だった。

「ナカナカ奇麗な店じゃなー。えーが、えーが」と仲間達全員が誉めてくれた。皆が想像してたより相当ヨイ出来だったみたいです。どんなモノを想像してたのだろうか。

「何時から始める?」と、カァーちゃん。

「そうじゃなー。ここのところパチンコあんまり調子よーないから・・・まぁ、それは置いといて・・・はよー段取りせにゃいかんなぁ。うーん、覚え易い日がエーわ。オレの誕生日15日じゃから6月15日にしよっ」

「暦をよー見て決めんといけんよ」

と、言ってた津山のオフクロの言う事を聞いたかどうだか、忘れた。とにかくその日、6月15日に決めた。お店の誕生したこの年、86年。同級生はどんなモノがあるのだろうと、17年経った今調べてみる。どれもコレもつい最近あったコトのように感じるけど、17年経っていますねぇ。こうしてみると、月日が経つのが余計に早く感じる。

 @フィリピンの民主化(マルコス亡命。この年から大統領が選挙で選ばれている)
 Aチェルノブイリ原発事故(あれから17年、被爆者500万人は良くなられたろうか)
 B男女雇用機会均等法(4月から施行で、同級生の法律。もう17年も経つんだ)
 C六本木アークヒルズ(4月にオープンしている。同級生の商業コンプレックス)
 D森進一、森昌子 結婚(そうか、アノ夫婦も今年で17年かぁ)
 E日本人初のF1レーサ(中嶋悟がホンダエンジンに乗る。エンジンは強かった)

こんなモノ(出来事)と同級生という事になる。


 開店前夜。新店舗と工場には各メーカーが置いて下さった新車達が10数台納まっている。全部が預かり車輌。自慢じゃないが、自分の物はカタナとSL350だけ。しかもこれは商品にするつもりなんかはさらさら無い。

「少しでも沢山有る方が、バイク屋らしゅうてえーよ。そりゃやっぱり」

と言われ、無料レンタルガレージもさせていただいた。他に仲間のバイクを数台、「らしく」見せるために置いていた。ここでも思うに、まーほんと今日まで皆にお世話になったもんだ。仲間が居てくれなけりゃ、多分出来てなかったと思う。ホント有り難い。


 Open!いつもの様に爆睡してスッキリ目覚めた6月15日。先ずは、マッつぁんにもらったミニキャブに3人乗車。芳泉幼稚園にエリコを送る。

「さー行くぞ。カァーちゃん。ハヨ行こっ」

 お店のガラス面に新発売のSRX4とGSXR400を置いて、少しだけ、ホンの少し不法占拠させてもらって各社のスクーター歩道に置く。各社のスクーター達が、「ここはバイク屋です。どう見たって」とアピールしてくれている。道路の向こう側から眺めて、

「うん。うん。ちゃんとバイク屋しとる。どっから見てもこりゃバイク屋じゃて。うん」

と、納得。コーヒーも煎れたし、コーラも冷やした。もう忘れ物ないよなぁ・・・さーっ。オープン初日だ。
何分狭かったモンで、「オメデトウ」のバイク仲間でごった返した。当然?新規のお客様はゼロ。6月15日開店の「マニアのお店」(お祝いに来てくださったスズキの課長さん命名)はスクスク育って、より通り掛かりの人達を寄せ付けないお店になろうとは・・・この時は夢にも思っていなかった。心の中では普通のバイク屋さんはしたくない。と決めてた私だったけども、あんなにまでも普通じゃなくても良かったか・・・。

 ピカピカの一年生のマサト。幼稚園小さい組のエリコ。彼等は全然不安がってはいなかったけど、子供達の顔を見て、

「ダイジョウブ。トーちゃん、ちゃんと頑張るからな」

と、心の中でちょっと自信無さげにつぶやいた34歳の私。

 

 


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